1、オーディオの趣味

5)オーディオ実験室
c)、パラメトリックEQの実験
c-3)フリケンシーイコライザの実験
②ワーキングモデル試作実験
ⅰ)仕様書作成
イ)要求仕様
 フリケンシーイコライザを使用するのは主に部屋の形状から発生する定在波によって出来る周波数特性上の盛り上がり部分(ピーク)を抑える目的の為です。谷(ディップ)の部分は音響学会の資料に拠ると1/3oct.
以下の幅の物は殆ど聴感上影響が無いそうですから取り敢えず無視する事にします。無理して補正しても歪みの原因になったりするのでやらない方が良い様です。
 では部屋で発生する定在波を調べてみたいと思います。
〇部屋の諸元:
 寸法:WxDxH:3.8x5.5x2.8(平均)、容積は約58.5㎥
となっています。
 元々和室と縁側を洋間に改築したために天井が低いのが難点です。元々事務所にする積もりだったので音響的な対策は施して居ません。途中で気が変わってオーディオルームにも使える様にした為、土壁の内側に5~10の空間を取りグラスウールが詰められてシーディングボードの内壁が貼られています。
 結果として仕上がり寸法が上の様になりました。残響は少なめでスピーチ録音スタジオ位のデッド仕上げのなっていますが物が収まると状況は変わってきます。
 壁紙が曲者で之を貼ると音響的に悪さをする様でシーディングボードの吸音性をスポイルしてフラッターエコーが目立つ事になりました。壁紙の件は一寸失敗でした。結局フラッターエコーは拡散反射板で、大きな定在波のピークをフリケンシーイコライザで抑える事にしました。
 部屋の形状から問題になりそうな定在波のピークが出る周波数を調べてみました。壁、床、天井の各対抗面の1次モードで発生する定在波は
計算上は周波数F:33.7Hz、45.3Hz、63.7Hz、77Hz、127Hz、
199.7Hz辺りになりそうです。
 ホワイトノイズをスピーカから再生してFFTスペクトラムアナライザで周波数特性を実測した結果は煩雑になりますので一枚だけデータを掲載しますが左図<FIG 5c3a8>の様になりました。
 周波数100Hz以下に出来ているピークは一つの様に見えますが上に挙げたピーク周波数での定在波が合わさって出来た物の様です。測定ポイントはスピーカからの距離3.2m、スピーカ間距離2.4mの2等辺3角形の頂点になり、音楽を聴く時の普段の試聴位置になります。フリケンシーイコライザで補正を掛る場合は測定ポイントと試聴ポイントがずれると特性が変化しますので注意を要します。普段は一人で試聴しますので之で良しとしています。後、定在波の節、腹の位置が試聴位置と重なら無い様に注意します。
 以上、測定結果からピーク周波数の山の部分は出来るだけ抑える込む事にしても、フリケンシーイコライザの素子数は周波数1kHz以下の帯域で5~6素子位有れば取り敢えず補正は出来そうだと云う事が判りました。従ってオーディオ帯域:20Hz~20kHzでイコライザ素子数が最低でも10バンド有れば良かろうと考えました。
 次に中心周波数可変範囲は±1oct.以上(出来ればオーバーラップを考えて±1.6oct.)有れば良い。
 レベルの可変範囲は±12dB以上取れる事が望ましい。
 Qの可変範囲は、影響を受ける山又は谷の範囲(バンド幅)が2oct.~1/6oct.の範囲であれば良いとすると凡そQ=0.7~8.6位になる。亦、ステレオ動作仕様の方が望ましいが4連VR等入手が殆ど不可能の部品もあるのでモノラル仕様を2台使用するのも止むを得ずと云う事になりました。以上の考察から以下の通り仕様をまとめました。
 参考文献として『Qとバンド幅について』整理してまとめて見ました。
ロ)試作実験フリケンシーイコライザの仕様
1)電気的仕様
a)形式:10バンドパラメトリックイコライザ
b)中心周波数:32Hz、64Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHz、8kHz、16kHz(10素子)
c)中心周波数F可変範囲:±1.6oct.
d)レベル可変範囲:±12dB
e)Q可変範囲:0.7~8.6
 取り敢えずの電気的仕様は概略、上のⅰ)~ⅴ)の通り決定して具体的な設計をして行きたいと思います。途中で不都合が有れば其の都度検討して仕様を見直す事にしたいと考えて居ます。
a)形式:10バンドパラメトリックイコライザ
 回路は前回までに説明してきましたので此処では改めて説明はしませんが、電流合成加算減算回路は松下電器(株)の方式を使う事にします。亦パラメトリックBPFは当然の事乍ら私の考案した回路を使う事にしました。OPアンプの数が多くなるのでBPFの部分はシングルインラインのハイブリッドICすればコンパクトにまとめる事が出来ると考えて居ますが基板の寸法に余裕が有りそうなので必要無いかも知れません。
 最近は便利な世の中になった物で個人でもプリント基板はCADで設計出来ますので同じ回路を沢山並べるのは其程苦にはなりません。
b)中心周波数:32Hz、64Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHz、8kHz、16kHz(10素子)
 イコライザ素子の中心周波数は1kHzを基準にして低い周波数側に5オクターブ、高い周波数側に4オクターブ取る事にして1オクターブ毎に中心周波数を割り当てますと上の様な中心周波数を得る事になります。之で略オーディオ帯域をカバー出来る事になります。
c)中心周波数F可変範囲:±1.5oct.
 F±1.5oct.と云う事はF・2^(-1.6)~F・2^1.6=0.33・F~3.03・Fという計算になるので、上述の
10バンドの中心周波数について可変幅を求めてみますと、
①、F=32Hz: (11Hz~97Hz)
②、F=64Hz: (21Hz~194Hz)
③、F=125Hz:(41Hz~378Hz)
④、F=250Hz:(82Hz~757Hz)
⑤、F=500Hz:(165Hz~1.5kHz)
⑥、F=1kHz: (329Hz~3.03kHz)
⑦、F=2kHz: (660Hz~6.06kHz)
⑧、F=4kHz: (1.32kHz~12.1kHz)
⑨、F=8kHz: (2.64kHz~24.3kHz)
⑩、F=16kHz:(5.28kHz~48.5kHz)
となります。
 実際にパネル上に表示する文字は字数の制限が有りますので、丁度切りの良い数字を使う事になります。
d)レベル可変範囲:±12dB
 テクニクス、ヤマハ等、市販のフリケンシーイコライザに合わせてレベルの可変範囲を±12dBにしましたが、中心周波数F=32Hz、F=64Hz辺りは±15dB以上可変出来た方が良いかも知れません。Fがオーバーラップ出来るので±12dBでも良いかなとは思っていますが、、。
 試作テストの結果では修正が入るかも知れません。パネルの仕様を決定するまでは抵抗一本の交換で済みますので柔軟に対処したいと考えています。
e)Q可変範囲:0.7~8.6
 参考文献として先程示した『Qとバンド幅について』から、Q=0.7の時は2オクターブ、Q=8.56の時は1/6オクターブになります。従って(0.7≦Q≦8.56)=(2oct.≧Bw≧1/6oct.)となります。
2)機械的仕様
a)外形寸法:幅(W)X奥行き(D)X高さ(H):430mmX300mm以下X2U(88mm)以下
b)仕上げ:パワーアンプの塗装色(ガンメタリック艶消し)に合わせる、シルク印刷(色:乳白色)
3)その他(使用する部品等について)
 現在、ロータリーVR、スライドVR共、特注仕様の場の最引き受け個数は600個/ロットと云うことですのでとてもじゃ無いが特注は無理の様で有ります。仕方が無いので過去に製品化されていた製品の中から使えそうな部品を外して分解整備して使用する事を検討していますが、必要個数を揃えるのはなかなか大変そうです。根気良く探す事にしました。
 では、次のページャからは具体的な回路設計に入っていきたいと思います。 


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