1、オーディオの趣味

5)オーディオ実験室
c)、パラメトリックEQの実験
c-3)フリケンシーイコライザの実験
②、ワーキングモデル試作実験
ⅱ)回路設計
ロ)、使用部品の検討
 先ず使用するVR(ボリウム)類について部品メーカーのカタログ等で調査してみました。製作台数が其れなりに多ければアルプス電気(株)等に発注試作する事も可能ですが、何でもアルプス電気(株)では最低受注個数600個と云う事ですので今回は私のオーディオルーム用にモノラルで2台程作る丈なので之は無理だと諦めました。1セット当たりの使用量は一品種10個/モノラルですので、モノラルPEQが60セット作れる計算になります。
 そこで中古部品を活用する事に決めYAHOOオークションでよく出品されているパラメトリックEQ、グラフィックEQ等で比較的入手し易い物を探して応札する事にしました。古い機器からの回転機構部品取りと言え共、半分位は未だ使えるのでは無いかと踏んで、回路方式の説明の処にも出て来たテクニクスのSH9010を4台程入手確保する事にしましたが、凡そ1年半位の期間で目標の台数をゲット出来ました。古い機器の割には状態が良い物ばかりでしたので何とかPEQの実現が出来そうで先が見えて来ました。結局使用する部品はボリウム類とそれに付随するつまみ、ノブ類になりそうです。
 後は回路設計の段階で電源トランスの様に使える物は出来る丈活用する腹積もりでいます。之でやっと機構設計も含めて本格的な設計に掛かる事が出来ます。考えて見ればのんびりした気の長い話です。
ハ)、主信号回路、電源回路、ミューティング回路<5c3a10>の設計
 下図に主信号回路、電源回路、ミューティング回路<5c3a10>を示します。此の回路部分は中古部品のお世話にはなりませんので自由に設計する事が出来ます。以下回路説明と設計の方針について説明して行きましょう。
 入力信号はキャノンコネクタでバランス受けされます。電子バランス回路は一般にインスツルメンテーション回路と呼ばれる回路です。普通よく使われる抵抗4本とOPアンプ1個の回路では入力インピーダンスを高くするとノイズレベルが下がらないので今回はインスツルメンテーション回路を採用しました。
 次に反転アンプが直列に2回路接続された電流合成加算減算アンプになります。PEQの様にゲインを持たない回路では抵抗値を巧く選ばないとノイズフロアが下がらないので注意を要します。第1段目の反転アンプはパラメトリックBPFのカットダウン側のスライドVR端子に接続され減算動作を担当します。第2段目の反転アンプはパラメトリックBPFのブーストアップ側のスライドVR端子に接続されて加算動作を担当します。
 次に電流合成加算減算アンプの出力はトータルゲイン調整VRを経て襷がけ電子バランス出力回路に入ります。此の襷がけ電子バランス出力回路のオリジナル回路はValley People(社)(USA)だった様に聞いたと思いますが大昔の事で定かでは有りませんが、その後各社から改良版の特許が出願されています。今回採用した回路は私が改良した回路です。大体この様な回路や非線形回路等を研究していたのは凡そ30数年も前の事なので殆ど忘却の彼方へ飛び去っている処ですが今でも当時の技術ノートや日報を後生大事に取って有る御陰で簡単に調べる事が出来て重宝しています。
 次に電源回路は3端子シリーズレギュレータで安定化電源を組んでいます。ミューティング回路はオーディオ回路では必須の物で電源投入時凡そ5秒で出力ミューティングが解除され電源立ち上げ時のポップノイズ等を取り除きます。電源遮断時は少々厄介で上手く電源OFF時の過渡ノイズを取る為にミューティング作動時間を早くする工夫がされています。
ニ)、パラメトリックBPF回路<5c3a11>の設計
 次に肝心のパラメトリックBPF回路の設計に入って行きます。下図にパラメトリックBPF回路<5c3a11>を示しますが、使うVR等の抵抗値と前のページで決定した仕様を基に回路方式の説明文中にある計算式を使って回路定数を計算して行きます。
 Fの可変範囲は±1.6oct.、亦使用するVRは100KΩ(C)であるのでVRとシリーズに入り可変バンド内での最高の周波数を決定する抵抗は10kΩとなります。周波数可変VRは2連VRになります。同様にQの可変範囲は0.7~8.56であり、使用するVRが50kΩ(A)ですのでシリーズに入る抵抗は12kΩになります。亦ピーク/ディップの可変レベルは±12dBですのでスライドVRにシリーズに入る抵抗は3.3kΩとなります。
 次にパラメトリックBPFのFcを決めるキャパシタの容量は以下の表<5c3a12>の通りになります。
C(No.) Fc(1/3・Fcn)Hz Fc(nominal) Hz Fc(3・ Fcn)Hz Capacitor 
101,102  10  31  93  0.15uF
201,202  20  63  189  0.0737uF=:0.068uF+5600pF
301,302  40  125  375  0.0353uF=0.018uFX2 
401,402  83  250  750  00.177uF=0.015uF+2700pF 
501,502  166  500  1.5k  8800pF=8200pF+560pF 
601,602  333  1k  3.0k  4400pF=2200pFX2 
701,702  666  2k  6.0k  2200pf 
801,802  1.33k  4k  12k 1100pF=1000pF+100pF
901,902  2.66k 8k  24k   550pF==.>560pF
A01,A02 5.3k  16k  48k   275pF==>270pF
 (尚、詳しい計算式はパラメトリックBPFのページの説明文を参照して下さい。)
以上で回路定数の計算が出来ました。結果を見るとずいぶんと簡単な様ですが、何度もカットアンドトライをして修正しながら最終的な定数に追い込んで行きます。
 次のページからは機構(筐体)及びパネルデザインを行って行きます。


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