c)、パラメトリックEQの実験
c-3)フリケンシーイコライザの実験
①、動作確認のための予備実験
今まで、c-1)、c-2)でフリケンシーイコライザの概要、及びフリケンシーイコライザの回路方式に就いて触れて来ましたが、いよいよ実際の回路を組み立てて実験を始めて行きます。前の項でも述べた通りJVCのSEA方式の実験は取り扱いません。
イコライザの使用目的は基本的にはオーディオルームの寸法、形状から取りきれなかった共振による低域周波数の定在波を押さえ込む事になりますので、イコライザの素子数は其程沢山は必要が無い、F0、Q、レベルの可変が自由に出来る必要が有るとの事でパラメトリックイコライザの実験をしたいと思います。
最終的には私のオーディオシステムの主回線に挿入して使用する事になりますので音質やS/N等特性的にも実用に耐える物を考えています。
実験回路は部品点数を出来るだけ少なくしたいのと、簡単に作りたいので電流合成加算減算回路は松下電器(株)の方式<5c2a4>、パラメトリックBPFはヤマハ(株)の方式<FIG
5c3a3>を使う事を考えています。
設計したPEQは左図<FIG 5c3a5>の様になります。
簡単に仕様を掲げておきますと、
F0:120Hz~2.7kHz
Mag:±12.0dB
Q:0.43~5.3
となっています。周波数可変範囲が広いですが動作の確認実験用ですので広くしてあります。流用したプリント基板を出来るだけ変更しない様にして実験が終われば元に戻す都合を考えています。あり合わせの部品を使用していますので若干ラフな処が有りますが、新規に設計する時は先ず仕様書をちゃんと作ってから仕様書に合う様に部品定数を決定します。各定数の求め方はc-2)の回路方式の説明の処に詳しい回路解析結果が有りますので参照して下さい。
実験基板の写真をを左図<FIG 5c3a6>に示します。
この基板は元々私のオーディオルームの天井に8本程埋め込まれているサウンドアドバンスのスピーカのイコライザとして作った物ですが今回の実験に打付けであるので一台だけバラしてパラメトリックBPFを後付けして流用しました。その為、ミューティング回路や2次フューズ、安定化電源も基板上に搭載されています。
周波数特性の実測データを<FIG 5c3a7>に示します。
グラフは2dBステップでF0でのレベルを可変して測定しました。レベルを下げて来てもATT-NF方式の様に裾野が広がる事は有りません。亦ピークとディップは綺麗な対称型になっているのが見て取れます。
BPFフィルタ部が1素子だけでの動作確認実験と云う事でノイズ、歪み率、他のデータは載せてありませんが回路を御覧になれば判る様に問題する様な現象は確認されませんでした。因みに使用したOPアンプは手持ちの関係でJRC(株)のNJM5532DDでした。
F0可変VRは2連式C型カーブの物を使用した方が操作性が良い様です。亦、Qの可変にはA型VRが使い勝手が良さそうだと云う事が判りました。レベル可変VRはセンタータップ付きW型カーブのVRがdB均等目盛りになり使い勝手が良さそうですが実際に試作機を作る時にW型カーブのVRが入手出来るかどうか判りませんので無ければB型カーブのVRを使う事になりそうです。亦、多連VRは古いパラメトリックEQから外して分解掃除して使う手も有りそうです。
結論として充分実用になるパラメトリックイコライザが作れそうだと言う事が判りました。
次のページでは実際に私のオーディオシステム中で使うパラメトリックイコライザの製作について検討しようと考えています。 |