c)、パラメトリックEQの実験
c-2)、フリケンシーイコライザの回路構成
ⅰ)回路形式による分類
フレケンシーイコライザの回路構成は代表的な物では、①JVCのSEAに代表される減衰時には信号回路にアッテネータを入れ、此のアッテネータの受け側に直列共振回路をパラ付けしてディップ(谷)特性を得、逆に同じ直列共振回路を主アンプのNF受け抵抗にパラ付けしてピーク(山)特性を得る方式(仮にATT-NF方式と呼ぶ。)と、此のコイル(L)をジェネラルインピーダンスコンバータ(GIC)を使ってC、R、半導体の置き換えた物、嘗て②松下電器が基本特許を持っていてテクニクスに採用されていた電流合成加減算方式の二種類がある。
他にも英国のミキサーメーカーのSSLが採用していた方式等が有りますが、此処では上記2方式に就いて比較をしてみたいと思います。
フレケンシーイコライザを回路形式で分類すると下図の様になります。
〈表5C-2〉イコライザの回路形式による分類 |
①ATT-NF方式
ATT-NF方式のフレケンシーイコライザ(FEQ)の基本回路図を左図
〈FIG5c2a1〉に示します。
この方式はJVCのSEAとして良く知られている方式で、一般的なFEQと言う時はこの方式の事を指します。
動作原理はR1とスライドVRの上半分、R3で構成されるアッテネータ回路(ATT)にLCRの直列共振回路を並列に挿入してカットダウン(ディップ)特性を得ます。 同様にレベルを持ち上げるにはR4、スライドVRの下半分、R5で構成されるNF回路にLCRの直列共振回路を並列に挿入して帰還率を可変してピーク特性を得ます。
左図〈FIG5c2a2〉にSPICEを使ってピーキング特性をシミュレーションした例を示します。ピークの頂点のレベルはNF抵抗R5と直列共振回路のダンプ抵抗R6で決定されます。同様にディップの谷のレベルは入力シリーズ抵抗R2とR6で決まります。
この方式の欠点としてスライドVRを可変してレベルの変化量を小さくした時はピーク又は谷の共振峰のQが低下する事です。この為、数バンドに亘って可変レベルがが小さい状態で使用する時はスライドVRのノブの位置で表示されるカーブと実際の周波数特性は全く違った物になる事で必ず周波数特性監視装置で確認をする必要が有ります。
左図〈FIG5c2a3〉にレベルを下げた時、Qが下がる例を示します。分かり難いですがカーブのスカート部が広がって居るのが確認できます。
次にGIC共振回路方式はLをシュミレーテッドインダクタに置き換えた物ですので此処では取り扱いません。興味の有る方は其方面の資料を参照して下さい。
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