1、オーディオの趣味

5)オーディオ実験室
c)、パラメトリックEQの実験
c-1)、フリケンシーイコライザ概要
ⅰ)フレケンシーイコライザとは
 簡単に云えば音響空間での試聴明瞭度を上げて聞き易くしたり、楽器の音色を変化させたり、余計な音を除く為のフィルタとして音響拡声装置や音響再生装置の周波数特性を変化させて使用する電気的周波数補正装置です。 
 オーディオルームに於いては建築音響学的に理想の部屋が造作出来れば言う事は無いのですが、予算や設計、施工技術等の諸事情からなかなか満足のいく部屋を作るのが難しいのが現状で、皆さんも良い音を再生するのに苦労されている事だと思いますが、この様なオーディオルームでは主に試聴位置での音響周波数特性を平坦に補正して色付けの無い音色で音楽を再生する為の目的で使用されます。

 フレケンシーイコライザ(FEQ)を使って補正をするには、変化させる中心周波数(f)、変化幅(Q)、ゲインレベル(gl)の三要素を可変して所望の特性を得る様に調整して使います。此の三要素を自由に可変出来る装置をパラメトリックイコライザ(PEQ)と呼びます。
 オーディオ帯域を1/3oct.、1/2oct.毎に区切って各帯域のゲインレベルを調整して所望の周波数特性に出来るだけ近似させる様に使う装置をグラフィックイコライザ(GEQ)と呼んでいます。仮に1/3oct.毎に補正素子を入れるとなると33素子位必要になります。
 調整の終わったグラフィックイコライザのパネルはその調整ボリウムの位置が装置の周波数特性を表している様に見えるのでこの名前が付きました。最近のデジタルイコライザ方式だとハードウエアの規模は余り増さ無くてもDSPのスループットが向上したので簡単に素子数を増やす事が出来るので1/64oct.~1/256oct.が普通になっています。
 此処では主にアナログイコライザに就いてのトピックスを取り扱います。

ⅱ)フレケンシーイコライザの使用目的
 一般的にフレケンシーイコライザが使用される用途は
①音場補正を行うため
 大はコンサートホールから小は個人のリスニングルームまで、其の形状に因って固有の周波数特性を持つ為、何らかの方法で周波数特性上に現れたピーク(山)やディップ(谷)を補正して平坦にしてやる必要が有りますが、建築音響学的な補正で取り切れなかった残った山や谷を補正する為にフレケンシーイコライザで補正します。普通は1/3oct.以下の狭帯域のディップ(谷)の補正は聴感上必要が無いと云う事なのでので行われません。ディップ(谷)の補正はシステムのダイナミックレンジを低下させますので注意深く吟味する必要が有ります。音場補正の目的の為に考えられたイコライザ(EQ)としてはカットダウンオンリーのイコライザでクラークテックという会社の優れ物が有りました。

②再生機器の周波数特性の補正のため
 スピーカ、カートリッジ、マイクロフォン等、電気音響変換系では機械系要素が有るので共振現象等でアンプ等の比べて周波数特性が暴れ易いので電気的な補正をフレケンシーイコライザで行うことがある。

③楽器等の音色を変化させるため
 楽器等の音色を強調したり、弱めたりす為に其の音声スペクトラム分布の割合を変化させる為に周波数特性をフリケンシーイコライザで弄る事が有ります。亦、レコーディングをする時等では不要な音を拾わ無い様にフリケンシーイコライザで必要な音の周波数帯域だけ持ち上げて録音する事が有ります。

ⅲ)周波数可変の三要素
 フレケンシーイコライザの個々の構成素子は其の周波数特性の形状から、ピーク(山)/ディップ(谷)を作る物はベル型、此処では取り扱いませんが、普通のトーンコントロールの様に或る周波数faからレベルが上昇(下降)してfbから上がり切って(下がり切って)一定に成る物はシェルビング(バタフライ)型と呼ばれます。
 ベル型イコライザのピーク(山)又はディップ(谷)を通る周波数をイコライザ素子の中心周波数(f)と呼びます。同様に山又は谷の鋭さを共振峰の鋭さ(Q)と呼びます。Qの逆数がバンド幅(BW)と相関が有りますのでバンド幅を使うことも有る様です。最後にゲインレベル(g)を加えて周波数可変の三要素と呼びます。

ⅳ)フリケンシーイコライザの形式
 最初にも簡単に触れましたが、フレケンシーイコライザと呼ばれる物には其の形式の違いからパラメトリックイコライザ(PEQ)、とグラフィックイコライザ(GEQ)と呼ばれる物が有ります。
 PEQでは周波数可変の三要素が互いに独立して可変出来る様になってます。オーディオルーム等で部屋の固有共振周波数で問題になり補正を掛けたいポイントは普通2~5カ所の事が多いのでジャストフィット出来るPEQでは沢山の素子数は必要としません。補正の為の調整は自分の耳で音楽を聞いてやる事等殆ど不可能で、再現性を考えるとそれなりの測定器を必要とします。亦、測定の為の技術もそれなりに要求されます。その為か市場には余り製品が登場しませんでした。
 GEQは中心周波数(f)、及び共振峰の鋭さ(Q)を固定して使い易くして、其の代わり細かく調整出来る様にオーディオ帯域を例えば1/3oct.(33バンド)、1/2oct.(15バンド)毎に区切って各帯域のゲインレベル(gl)を調整して所望の特性に近似させます。その為PEQの様に何をしているのかさっぱり分からないと云った事は無く、お音楽を聴いての調整も比較的可能です。亦、再現性も良い様で嘗て沢山の製品が発表されていました。唯精度の良い調整を行うには測定器のお世話が必要です。
 各々比較して特徴を表にまとめて見ました。


 〈表5C-1〉イコライザの形式比較


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