1、オーディオの趣味

5)オーディオ実験室
b)、チャンネルディバイダの実験
b-2)、実用的なフィルタの設計(2)
 インピーダンスが周波数で変化する実際のスピーカを接続するとLPFの特性がどの様になるか検討したいと思います。使用するスピーカはTAD製のTL1601bですので、先ずTL1601bのインピーダンスカーブを測定して見ました。
  左図(図5b-2C)に単体で測定したインピーダンスカーブを示します。カタログスペックではF0=28Hz、最小インピーダンスRo=7.0に対して実測では、
 F0=32Hz、最少インピーダンスRo=7.6Ωとなっています。まあ誤差の範囲内でしょう。
  之を基にスピーカのインピーダンスを反映した等価回 路を作ります。作り方に就いては『無線と実験』2010年1月号のP143に安井章氏の『スピーカの補正回路』に詳しい記事が出ていますので参照してください。

  作成した等価回路図、SPICEでシミュレーションした結果を示しますと左図(図5b-2D)の様になります。
  F0付近のカーブはではL、Cの並列共振回路のピークをRでダンプして、後Qを調整して作っています。高域周波数でインピーダンスが上昇するのはボイスコイルのインダクタンス成分による物ですからLに置き換える事が出来ます。

  (図5b-2C)の実測データと(図5b-2D)を比べて 見ますとシミュレーション結果と実測データが良く合っていて概ね良好だと思います。
  高い周波数でシミュレーション結果の方がインピーダンス値が高く出ている様ですが、F=3kHz位までは略合っている様です。原因は測定器の出力インピーダンスの為です。之より高い周波数ではフィルタの遮断特性が大きいので影響は殆ど問題にならないと考えています。

  次に(図5b-2B)の回路で負荷抵抗をR=8Ωの代わりにTL1601bの(図5b-2D)の等価回路で置き換えてシミュレーションを行います。
 計算結果を(図5b-2E)に示します。
 (図5b-2B)と比較しますと(図5b-2E)では周波数特性上に二カ所にインピーダンス不整合による周波数特性の暴れが見て取れます。
                                    
 
 第一ピーク(F特カーブ上左側のピーク)では、此の周波数の音圧レベルが強調され音質が変化して聞こえるかも知れません。亦、第二ピーク(減衰スロープ上のピーク)ではフィルタの遮断特性が悪化した様になりますので、之も高域側のスピーカとの繋がりに問題が出るかも知れません。
  此の様なインピーダンス不整合による周波数特性上の 暴れはフィルタの次数が高くなるほど顕著になりますので 注意が必要です。普通2次や3次のフィルタではインピーダンス整合は余り考慮されませんがちゃんとした特性のフィルタを実現するにはやはり2次、3次のフィルタと云えどもインピーダンス整合を取るべきだと思います。
  インピーダンス整合を取るにはスピーカの等価回路の逆回路をスピーカに並列に接続すれば良い事になります。スピーカのF0がLCの並列共振系とダンプ抵抗で表されるとすれば、逆回路はLCの直列共振系になる事は私の非力なオツムでも簡単に想像出来ます。では次に逆回路を付加してみましょう。

  フィルタの周波数特性上に大きな暴れが観測された(図5b-2E)に逆回路を追加した物が(図5b-2F)の回路図になります。
  逆回路の作り方は先程紹介した安井章氏の『スピーカ の補正回路』の記事に解説が出ていますので参照して下さい。  
  シミュレーション結果を見ると解る様に2カ所有った大きなF特上の暴れは完全に取れ純抵抗負荷と同じ様にきれいな特性に仕上がりました。

  以上でウーハ(TAD TL1601b)側のローパスフィルタの実現には概ね目途が立ちました。
  次にドライバ(TAD TD4001)側のパイパスフィルタ の設計をする訳ですがディスパーシブホーンの高域周波数での音圧レベルの減衰を補償するイコライザも必要になりますので、ドライバにホーンを付けた状態でインピーダンスカーブ、周波数特性を測定してイコライザ回路の設計をする必要が有ります。後、ウーハとドライバのダイアフラムの位置関係でウーハ側のダイアフラムが30cm位前に出てきますのでウーハ側に時間遅延回路を入れる検討も必要になります。


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