1、オーディオの趣味

5)オーディオ実験室
b)、チャンネルディバイダの実験
b-1)、フィルタ回路の復習
ⅰ)フィルタとは
 必要な物を通して不要な物を通さない機能を持った物で濾過器と呼ばれています。茶漉しやザルもフィルタの一種ですが、電気回路では雑多な信号の中から必要な信号だけを取り出す機能の物をフィルタ(濾波器)と呼んでいます。

ⅱ)フィルタの種類
 フィルタの種類として機能、回路方式、フィルタ特性で分類する方法が有りますが、此処では簡単に機能での分類のみ記する事にします。
 或る周波数(Fc)で周波数帯域を分けて通す信号帯域を通過帯域、その他の不要な信号帯域を遮断帯域と呼びますが、低い周波数帯域だけを通すフィルタをローパスフィルタ(Low Pass Filter、以下LPFと書く)、高い周波数帯域だけを通すフィルタをハイパスフィルタ(High Pass Filter、LPF)、或る周波数から或る周波数の間の帯域だけを通すフィルタをバンドパスフィルタ(Band Pass Filter、BPF)と呼びます。他には或る周波数帯域だけを取り除くバンドエリミネーメーションフィルタ(Band Elimination Filter)と呼び、周波数は変化させず位相だけ変化するフィルタをオールパス(All Pass Filter)と呼びます。 
 ここではフィルタの名称だけ記するに止めておきますが、各フィルタについて勉強したい方は参考文献を挙げておきますので参照してください。(出版社が変わっているかも知れません。)
 《参考文献》フィルタの理論と設計、著者:柳沢健、神林紀嘉(産報出版:電子科学シリーズ)
 《参考文献》アクティブフィルタの設計、著者:柳沢健、金子馨(産報出版:電子科学シリーズ)
 《参考文献》Handbook of FILTER SYNTHESIS、著者:Anatol L.Zverev
 《参考文献》ELECTRONIC FILTER  DESIGN HANDBOOK、著者:Arthur B.Williams

ⅲ)フィルタの構成
 回路を実現するに当たってにはL、C、Rだけで構成する(イ)、パッシブ(受動)フィルタとトランジスタやOPアンプを追加して小型高性能化を図った(ロ)、アクティブ(能動)フィルタが有ります。各々の利点、欠点として(イ)パッシブフィルタでは利点として電源が要らない、次数が低い場合は簡単に実現出来る、欠点として精度が出し難い、低い周波数では形状が大きくなる、インピーダンス整合をとる必要がある等です。(ロ)アクティブフィルタでは利点として精度が出し易い、小型化出来る、高次のフィルタが簡単に実現できる、欠点としては電源が必要である、高次フィルタの場合はダイナミックレンジ、
S/Nが取り難い等です。

ⅳ)フィルタの特性
 チャンネルデバイダでよく使われている1次、2次のフィルタに就いて特性を簡単にまとめてみました。伝達関数、ボーデ線図、ステップ関数入力時の過渡特性を表にしてあります。2次フィルタの特性はLPF、HPFに就いてはバターワース特性(Butterworth)を使用しています。(尚、3次以上の高次のフィルタは参考文献等で各自にてお調べ下さい。)

ⅳ-1)パッシブフィルタ
1次フィルタ 
a)伝達関数 b)回路図 c)ボーデ線図 d)過渡特性
イ)ローパスフィルタ


T=W/( S+W
ロ)ハイパスフィルタ


T=S/( S+W
                                                               〈表5b-1A〉

2次フィルタ 
a)伝達関数 b)回路図 c)ボーデ線図 d)過渡特性
ハ)ローパスフィルタ


T=W0^2/(S^2+(W0/Q)*S+W0^2)
ニ)ハイパスフィルタ


T=S^2/(S^2+(W0/Q)*S+W0^2)
ホ)バンドパスフィルタ


T=W0/Q*S/(S^2+(W0/Q)*S+W0^2)
へ)バンドエリミネート
  フィルタ 


T=S^2+W0^2/(S^2+(
W0/Q)*S+W0^2)
                                                               〈表5b-1B〉

ⅳ-2)アクティブフィルタ
 1次フィルタ
a)伝達関数 b)回路図 c)ボーデ線図  d)過渡特性
ト)ローパスフィルタ


T=W/( S+W
チ)ハイパスフィルタ


T=S/( S+W
                                                               〈表5b-1C〉

 2次フィルタ
a)伝達関数 b)回路図 c)ボーデ線図  d)過渡特性
リ)ローパスフィルタ


T=W0^2/(S^2+(W0/Q)*S+W0^2)
ヌ)ハイパスフィルタ 


T=S^2/(S^2+(W0/Q)*S+W0^2)
オ)バンドパスフィルタ


T=W0/Q*S/(S^2+(W0/Q)*S+W0^2)
ワ)バンドエリミネート
  フィルタ


 T=S^2+W0^2/(S^2+(
W0/Q)*S+W0^2)
                                                               〈表5b-1D〉

 後、此処では触れていませんが、オールパスフィルタ(位相器)があります。利得周波数特性は平坦で、位相だけが回転します。マルチスピーカのユニット間の遅延時間を合わせる時などに利用出来そうです。例えば中音域にホーンスピーカを採用した時等、ダイアフラムの時間的な位置合わせに使えそうです。

 他にも回路方式で分類することも出来、ボルテージフォロアを使用したサレンケイ(トムソン)フィルタや反転増幅器を使用した多重帰還フィルタ、状態変数回路フィルタ、GIC(General Impedance Convertor)を使用したFDNRフィルタが良く知られています。回路方式は伝達関数を実現する手段です。各々にそれぞれ特徴が有りますので必要に応じて採用すれば良いと思います。


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