1、オーディオの趣味

5)オーディオ実験室
a-3)、NF型フォノイコライザの改良のページ(その2:同相誤差を取り除く。)
ⅳ、NF-CR型イコライザ回路図、実測データ
 (FIG29)に実際に組み立てた回路図を示します。M5240Pのピン3、
4、5に接続されているキャパシタ、抵抗で2ポール補償を行っています。
 NF型イコライザ部の定数は、a-2)の定数を使っています。CR型イコライザ部はNF型イコライザ部の4.4倍のインピーダンスに設定しています。
 f=1kHzの時のイコライザ素子のインピーダンスは凡そ41kΩになりますので高域周波数でも負荷が重いと云う程では無いと考えています。NF、CR両方のイコライザ素子がM5240Pの負荷になりますので余り重くならない範囲で低くするのが良いでしょう。負荷が1kΩ前後であれば充分ドライブ出来ると思います。
 では、次に周波数特性の実測データを示します。このデータはRIAAイコライザ素子T1の抵抗値を調整して低域周波数でのRIAA偏差を抑える様に調整しています。上図(FIG27)の回路図では、R105は82kΩになっていますが、調整後の値は82.7kΩになりました。之はグラフデータをプロットして、抵抗値をカットアンドトライで根気良く調整します。
 左図(FIG30)にRIAA周波数偏差特性を示します。f=20~20kHzで
RIAA偏差は±0.3dB以内に入れる事が出来ました。高い周波数で生じていた同相誤差に拠る偏差の増大も0.1dB以内に抑える事が出来ました。 之のデータは逆RIAA(録音RIAA)の偏差(±0.08dB以内)を含んでいますが、再生RIAA偏差単体でも充分±0.3dB以内に入っていると考えています。この位になれば測定系の精度が問題に成って来ますが、測定には校正されたオーディオプレシジョン、SYS2322A(SPECでは±0.01dB以内)を使用していますので測定系には問題は無いと考えています。何れにしろレコード再生には余り関係ないはなしですが、、。                         
 次に、f=1kHzのTHD+Nのグラフを(FIG31)に示します。Vo=1.5V位から歪み率のカーブが上昇していますが、歪み波形をモニターしますと2次歪み成分が観測されますのでもっと歪み率が下がる様に検討する必要が有りそうです。メーカーのブレテンではもう少し最低歪み率が良い様に書いていますが、歪みのカーブは似通っています。バラック状態で測定していますのでちゃんとケースに入れてみないと分かりません。一般的には、偶数次の歪みが観測される時は設計不良、又は調整不良が内在している事を示しています。他に当初、最大出力が少し低いのが気になりましたがブレテンを見る限りではこんな物の様です。前回にM5238Pで実験した時は大出力時の歪み率がもっと良かったので設計不良を疑いました。流石にノイズフロアは此方の方が良い様です。
 入力換算ノイズはVn=4.66nV(-131.2dBV、IHF-A+RIAA)で、M5238Pの時よりも凡そ8.8dB位良いデータが測定されました。A=36.1dB(=63.5、f=1kHz)でしたのでVn=-95.1dBVと云うことになります。
 処で当初、補償回路のCR型イコライザを付けると高域周波数でF特が異常に下がってきて偏差が大きくなる現象が出て半日くらい原因が解らずに悩みました。色々調べてみると、どうもCRイコライザの前までは正常に動作している事が分かりました。CRイコライザ部分を外して同じ様に下降するF特になる様にNFイコライザの出力にキャパシタをぶら下げて見て様子を見ると、0.01uFのキャパシタを付けると略同じ様な特性になる事が分かり、CRイコライザ周りの部品で此のキャパシタに相当する物はと調べてみると8200pFが有りました。どうもこの周りが怪しいと思ってよくよく見ると本来33kΩが付く所に3.3Ωが付いているのを発見、橙色と金色を見間違えていた事が判り一見落着となりましたが、老眼と思い込みの為せる業で歳を取ると本当に嫌~ですね。一応パーツボックスを調べましたが他に混在は無い様でした。

ⅴ、同相誤差除去の実験のまとめ
 正相NF型フォノイコライザの高域周波数での偏差の原因は、部品の誤差を除けば、同相誤差によるものが大きな原因である事が確認出来ました。誤差除去の方法の一例として新しいNF-CR型フォノイコライザを提案し実験で効果を確認しました。此の方式のよい所は数学的にスマートである事ですが、OPアンプ、精度の良いCRが余分に要る事でコストアップの要因になり、私の勤めていた会社では商品化されなかったと記憶しています。アマチュアで有ればコストが問題に成らないので使えるのでは、と考えて実験のテーマに取り上げました。
 他の方法として汎用性が無くなりますが、フォノイコライザを反転増幅器で構成して、ピックアップカートリッジの接続を極性を反転して、フォノカートリッジとイコライザアンプのトータルで同相にするのも一つの方法でしょう。亦、フォノイコライザの負荷が重くなりますがCR型1次LPFをイコライザの出力に挿入してF特を落とす方法も考えられます。唯、フォノイコライザの出力にシリーズに抵抗を入れることになるので出力インピーダンスが高くなります。亦、抵抗値を小さくするとキャパシタ容量が大きくなって負荷が重くなり、歪みの発生や最大出力が取れなくなる事が有りますが、音楽信号を取り扱う上で実用上問題になることは無いと思われますので既存のフォノイコライザの改修には良い手立てだと思います。

 最後に、アナログディスクも最早過去形で語られる時代に成りつつありますが、追試を希望の方が有れば試作基板が未だ数枚有りますので提供します。M5240P、M5238Pも同様です。


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