1、オーディオの趣味

5)オーディオ実験室
a)、フォノイコライザの実験
a-1)、NF型フォノイコライザの実験
ⅰ、概説
 フォノイコライザは今更説明する程の事は無いかも知れませんが、アナログLPの再生をする時にフォノカートリッジの微少出力をパワーアンプがスピーカを十分な音量で鳴らせるレベルまでS/N良く増幅するために使用されます。亦、この時(FIG1)に示す様に、アナログレコードのグルーブ(溝)に音声信号を記録する時に低音では信号の振幅がアナログディスクの溝幅より大きいので振幅を圧縮して(レベルを小さくして)記録し、高音では逆に信号の振幅が小さいのでS/Nを稼ぐ為に振幅を増大して記録してあるのを本来のレベルに補正、即ちイコライズして再生します。この為にフォノ(専用の)イコライザと呼ばれます。昔はレコード会社毎に再生イコライザカーブが有りましたが、現在のLPではRIAAの制定したイコライザカーブを使うのが一般的です。

 アナログディスクのグルーブ(溝)に記録された信号を読み取るフォノカートリッジの出力は、ノミナルレベル再生時で普及型のMM(ムービングマグネット)型で2mV~5mV位、より高級なMC(ムービングコイル)型では0.05mV~0.5mVと非常に小さなレベルですのでパワーアンプの通常の入力レベルである100mV位まで、MM用EQAmpで利得A=50(34dB)倍、MC用EQAmpで利得A=300(50dB)倍位、信号の増幅をする必要が有ります。亦、アナログディスクのS/Nは50dB位有りますのでEQAmpのS/NはEQAmpのノイズがアナログディスクのノイズフロアに隠れて無視出来る為にはもう10(20dB)倍位良くする必要が有ります。従ってEQAmpのS/Nは最低でも70dB以上取る必要が有る事になります。亦、再生用イコライジングカーブは中音域の1kHzに比べて低域では最大19.2dBも利得が大きくなりますので電源からの誘導雑音(ハムノイズ)やフリッカーノイズの影響を受け易くローノイズ化を難しくしています。

 フォノイコライザの方式には、イコライザ素子をアンプのNFBループ内に入れて所期の周波数特性カーブを得る(a)NF型イコライザと(b)CR素子のみで所期の周波数特性を得る(パッシブ)CR型イコライザが有ります。(a)の場合は、低域周波数では中域に比べてNF量が低下するので歪み率が悪化し易いのでNFBを掛ける前の裸利得を大きく取れる回路にしなければいけませんが、逆に高域周波数では帰還量が増加し過ぎてアンプが不安定になったり酷い場合には発信したりしますので安定に特性良く動作させるには技術が要求されます。亦、正相型NFBアンプではイコライザ素子のインピーダンスが0になってもアンプの利得は1以下になりませんのでイコライザが誤差を持つことになります。反転型アンプの場合はこの様な誤差を持ちませんが信号を正相(本来の位相関係)に戻すため余分なアンプが必要になります。

 (b)のCR型イコライザはNF型が周波数でNFB量が変化したり高域で不安定になる様な事が無いので好む人達も居ます。CRーEQ部は信号を減衰させるだけなので前段にアンプが必要になりますが、此のアンプにはアナログディスクから高域でレベルが強調された信号が入ってきますので高域周波数で信号がクリップしない様に許容入力の大きなアンプが必要になります。亦、負荷も重くなりがちなので電力も取れる必要が有ります。1段増幅器では仕様を満足できない時は多段に増幅する必要が有りCR-EQ素子も多段アンプの前後で分割して挿入される事があり、ダイナミックレンジとS/Nを両立させるには高度な技術が必要になります。何れにしてもフォノイコライザはの製作は難易度が高い物になります。
 
 これ以外にもNF型とCR型の折衷案等、フォノイコライザの実現方法には多種多様な方式があります。今後、実際の回路を設計していく訳ですが、此処での実験で取り上げるフォノイコライザの回路は実用性を考えてNF型EQAmpを基本とした回路になります。CR型、折衷型は別の機会に取り上げたいと思っています。


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