|
《解説》
本機はステレオギャラリーQの300Bの改造修理の為の試作実験機としてテストをしてきましたが、ロードライン3.5kΩというのは二次歪みが多くてカットオフ側に余裕の無い動作を強いる事が解りました。之を解決するには、武末氏のアンプやステレオギャラリーQのアンプの様に300Bを定格目一杯で使う方法が有りますが、なかなか入手が困難で高価な300Bをその様に使うには少々抵抗が有ります。
亦、歪み打ち消しの点でも出力段の歪みに対応してドライブ段で可成り大きな打ち消し歪みを発生させなければいけないのでトランスでの位相回転を考えると周波数帯域端では打ち消しが外れて大きな歪みが残る事になり面白く有りません。
結果として若干最大出力は低下するものの歪みの低下が期待できて動作点にも余裕の取れそうな一次インピーダンス5kΩの出力トランスに換装する事にしました。このトランスはG7743というラックスの特注トランスで40年ほど前に大枚を叩いて特注した物ですが今回久しぶりに復帰しました。外観上はOY15型で全く同じです。左図下にOPTの特性を表示します。周波数70kHz位にディップが有り負帰還を掛けた時、周波数特性の暴れが危惧されましたが実用上問題の無い範囲に収まりました。
回路方式は当初今回の試作の目的であるステレオギャラリーQの300Bシングルアンプの修理改造の為のパイロットと云う事で、オリジナルに出来だけ合わせる為に回路方式、供給電圧を近似させましたが、当方のシステム系に入れるにはゲインが不足気味なので初段のEF86を三結動作から五結動作に変更してオープンゲインの増大を図りました。
後は、RL=5kΩにして終段の300Bが低歪み率動作に成ったのでドライブ段もそれに合わせて動作点の見直しをしました。
TotalNFBは仕上がり利得が26.0dB±0.3dBとなる様に設定されます。初段を五結にした事で増大したゲインは初段に10dBのローカル帰還を掛け低歪み化と広帯域化を図りました。オーバオールのNFBは9dBで略ステレオギャラリーQの300Bに合わせました。
|