これはヒューレットパッカードのHp339Aディストーションメジャメントセット(歪み率計)です。
この測定器が発表される前はYHP4333Aが唯一の高性能歪み率計でしたが本器が出た頃から、使い勝手を考えて発振器と歪み率計を同じ筐体に入れて使う様になってきました。当時はサウンドテクノロジST1700Aが主流でした。
当時、サウンドテクノロジの測定器を一番沢山持っていたオーディオメーカーは大阪に本社の在ったラックス株式会社で日本でのサウンドテクノロジ社の総代理店を所望されたなんて話しも有った様です。後年ラックスがラボラトリーリファレンスシリーズという当時としては驚異的な高性能オーディオ機器群を他社に先駆けて発表出来たのも開発環境を含めてそれなりに先進性を持っていたからでしょう。
話が逸れましたのでHp339Aに戻って、この発振器でのF=1kHzの歪み率を測ってみると、THD+N≦−105dB
(0.0006%)、Vo=3Vと、最近の測定器と比べても充分肩を並べるほど高性能です。発振器と歪み率計同時に使って測るとTHD+N=−100dB(0.001%)位がその実力となります。真空管アンプの測定に使うのであれば十分な性能の測定器だと思います。
使い易い良く出来た測定器ですが、最近はオーディオプレシジョンの自動測定機能の付いたSYS2322Aを使うため殆ど出番が有りません。
1年に1度は校正をして何時でも使える様に整備しています。最近、周波数100Hzで1X100Hzのレンジで歪み率計部の自動同調が収束しなくなったので修理しました。(10X10Hzでは問題無かった。)毎年校正していて思う事はその精度に殆ど狂いが無い事で流石に天下のヒューレットパッカードだと感心します。
AC300Vの歪み率がが測れる唯一の歪み率計なので大事に取っています。
今回、修理校正して概ね新品時代の性能に回復出来た様です。(購入時に測定したデータで確認)
OPアンプの使い方などでは少々拙いのではと疑問を感じる処がありますが、、。JRCのOBであるMさんに言わせますと当時のOPアンプはモールドが良くないので日本の様な湿気の多い環境では経年変化に耐えないダロウとの事で、当機の場合もOPアンプがNGでした。 |